トラブル

◆注意点

チップを貰えるのが当たり前とされている国では、チップに対する様々なトラブルも発生しています。トラブルとまではいかなくても、あからさまな催促の態度に嫌な印象を受けたということは誰でも経験があるのではないでしょうか?

例えば、サービスの最後の場面で、チップの金額が少ないからと言って自分の前から離れなかったり、ダイレクトに手を差し出されたりもします。また、トイレ使用後に出入り口に立ちふさがり、チップを渡さないと外に出られない状況を作られたりするときもあります。

チップを渡す側としては渡したくないとは全く思っていなくても、そういう態度に出られると、渡そうと思っていたけど止めるとか、金額を減らしたくなったというような気持ちになってしまいます。

このことは確かにチップが欲しいという態度をモロに出す相手にも非があるのですが、チップと言う習慣が作ってしまった悪い結果だとも言えます。

だから、日本人でもチップを渡す習慣のあるゴルフ場のキャディや、旅館の仲居などを見ていると、やはり諸外国の人と同じような態度で接客をする人もかなりいるのです。

そういう場面で嫌な気持ちにならないようにするためには、最初から「チップは差し上げるのが当たり前」と思っていて、催促するような態度に出る人には基本額、そして、そういう態度を微塵も出さず、心のこもったサービスを提供してくれた人にはプラスアルファを差し上げるという感じで、その人の態度やサービス度によって、いわば、報酬制を取るのです。

例えば、あらかじめサービス料が加算されるなどして、チップが不要なシーンで、御礼の気持をこめて、あえてチップを手渡そうとした瞬間、相手が固辞した場合、無理をおして渡す必要はありません。 この広い世の中には、人から頂くチップを商売にしている人もいます。

例えば、大変足場の悪い観光地で、足の悪い人やお年寄りなどがやってくるのを待ち構えていて、親切そうに手を差し出し、観光を終えて車まで送り届けた時に手を差し出すとか、道に迷った観光客を探し出し、道案内をした後で手が出てくるとか、こういった話では特に発展途上国の観光地などでは珍しい話ではありません。

彼らの方では、それなりのサービスをしたのだから、「親切料」を受け取る権利があるのは当然だという言い分があるのです。

体の不自由な人やお年寄りを相手にこういうことをしている人を目の当たりにすると本当にがっかりしますし、何よりも親切料を請求された人は「なんて国だ」という印象を受けてしまうかもしれません。

ですから、こんな悪徳商売に引っかからないようにするためには、最初から現実を認識し、自分の方から話しかけて相手に何かを尋ねるという場合ならともかく、相手の方から話しかけて来て「××しましょうか?」と誘いかけられるような場合、いかなる場面でも「とりあえずは結構です」と断る勇気が必要だと思うのです。

海外旅行においてはチップの件に限らず、何かのトラブルに巻き込まれる人の多くは、相手の方からもちかけられて「結構です」の一言が言えなかったことに原因があるのです。 前述のように原則不要であるにもかかわらず、チップの支払いを強要されるケースがあります。


チップを渡す際のマナー

またアジアに多いのですが、具体的な金額を要求されることも。心から感謝をしているのであれば、多めに支払うのは個人の問題として構わないことですが、そうでなければ、きっぱりと断ることも大切です。

ただし、チップが必要な国や地域で、よほどの理由がないのに支払いを拒むことは、マナー違反ですから慎みましょう。 

基本的にはチップは「感謝料」と考えるべきなのですから、自分によいサービスを与えてくれた人には喜んで差し上げたい、そうでない人には「こんな人に差し上げたくない」と思える部分は誰でもあると思います。

大体において、人に心から感謝されるようなまじめな人は、チップを受け取れる場面になっても「欲しい」という態度を出しません。彼らはお金をもらうためにサービスを提供しているのではなく、心から人に喜んでもらいたいからという奉仕の心が先立っているからです。

反対にチップを催促するような人はチップは、自分の働きに対して頂く権利がある代価と思っているはずです。 だからと言ってその人にチップを渡さないということも失礼なのですが、そもそも、彼らは自分の何が悪いか全く分かっていません。

ですから、理解させるためのアクションも必要です。 そうすることにより、嫌な気持ちになることが減ることはもちろん、ある意味では「労働査定官」にでもなったつもりで客観的に人を見ることができるため、自分の人生勉強に繋がると思います。

チップをスマートに支払うのに重要な要素がタイミングと渡し方です。 チップをスマートに渡すにはできれば最小単位の紙幣を、複数枚、ポケットなどに用意して、さっと取り出せるようにしたいものです。

空港や駅、ホテルの車寄せなど不特定多数のひとがいるなかで、大きな荷物を路上に置いたまま、財布を開けるのは物騒です。

ジャケットなど取り出しやすいポケットに紙幣やコインを入れておくなど、マネークリップなどに留めておくなどしておくと、いざというとき、サッと手渡すことができます。

そのためにも両替のときに、1ドル紙幣や1ユーロコイン、アジアであれば紙幣の最小単位を多めにしてもらうようにお願いするとよいでしょう。小額の札がなくなれば、両替商やホテルのフロントなどで「スモール・エクスチェンジ・プリーズ」と言って、小額紙幣に替えてもらうようにします。

ポーターやドアマン、ホテルのコンシェルジュなどにチップを渡すときは、紙幣は二つ折程度にして、目をみて手渡すとよいでしょう。レストランでのチップは、食後、テーブルの上に置くのが通例です。 そのときに「Thank you」と一言添えるのを忘れずに。